山間部の風況解析

山間部の風況解析事例として,東北大学青葉山キャンパス以西の地域の風況解析を紹介します.図1に示すように,仙台市は東側を太平洋に面し,その西側は都心部,続いて山間部となっています.東北大学青葉山キャンパスは,仙台市都心部から5kmほど西側の図中の赤枠に位置しています.風向きは仙台市の卓越風向を考慮し北西風とし,解析領域は青葉山キャンパス以西の地域とします.図2に示すように,解析領域の大きさは10km四方 (円形領域の直径は9.6km),鉛直高さは2kmです.また,計算格子の水平幅は16m,鉛直幅は2mです.地形・建物データには,国土交通省のPLATEAUにて公開されているCityGMLデータ (LOD1,地図情報レベル2500相当) を用いました.

図1 仙台市都心部および山間部の地形と建物

図2 東北大学青葉山キャンパス以西 (解析領域) の地形と建物

下の動画では,地表面から10mの高さでの風速を可視化しています.赤い領域は風速が大きく,その多くは山の稜線に沿って分布しています.一方で比較的小さい風速域は盆地を覆うように分布しています.また,風向に沿った鉛直断面の風速では,山頂や稜線から流れが剥離する様子が見られます.

風況解析と気象予測

10km四方の解析領域は,風況解析で取り扱うには大きく,気象予測で取り扱うには小さく,そのため,あまり取り扱われない解析領域の大きさです.風速を予測するという点で風況解析と気象予測は似ていますが,違いもあります.風況解析は地面の起伏や建物などによって発生する風の変化を捉えます.風況解析では風速の機微を捉え,局所的かつ突発的な風まで予測します.一方,気象予測は大気の状態を予測し,地上に与える影響を予測します.気象予測では気圧や温度,水蒸気量,コリオリ力などを考慮し,大域的な風速を予測します.

関連リンク:

都市風速マップ YouTubeチャンネル (https://www.youtube.com/@iCFDwind)

都市風速マップ 紹介ページ (https://icfd.co.jp/casebook/archives/1123)

国土交通省 3D都市モデルオープンデータ化プロジェクト PLATEAU (https://www.mlit.go.jp/plateau/)

気象庁 気象データ 平年値 宮城県仙台市 (https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=34&block_no=47590)

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