木星イオプラズマディスクのフィンガー構造

可視化ソフトウェアClef の活用事例をご紹介します.

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可視化ソフトウェアClef の活用事例
木星イオプラズマディスクのフィンガー構造

木星周辺のプラズマ構造を計算しました.木星プラズマは、人工衛星で観測されています.また間接的には、オーロラとして観測されます.これを発表した論文では、プラズマ構造にフィンガーが形成されることを予想しています.

  • 線:磁力線
  • 等値面:イオプラズマ分布
  • 等値面カラー:コリオリ力で飛び出す速度
  • 球面(6倍半径)カラー:木星オーロラの分布に相当

背景

木星の惑星イオは、木星半球の6倍の軌道を回っています.イオには火山があり、そこから吐き出されたガスがプラズマになって、イオ軌道上に溜まります。プラズマは無限には溜まれず、やがて外部にしみ出して行きます.

交換不安定

木星には強力な磁場があり、通常プラズマは磁場を横切って外部に移動できません.しかし、交換不安定と呼ばれる特別な機構で外部に移動可能です.交換不安定とは、木星の高速回転下で、低高度の重いプラズマと高高度の軽いプラズマが磁場の形状を保存したまま入れ替わる運動で、遠心力があるために起こります.

コリオリ力の効果

交換不安定運動は渦となりますが、渦運動が東に向かうとコリオリ力が遠心力を強める方向に働き、この部分はより外部に移動・突出します.この影響で、イオプラズマにフィンガー構造が出来ます.

可視化結果

一番明るい部分(ピンク)は、写真でよく見る木星オーロラです.交換不安定に伴い、それより低緯度側に暗いオーロラが発生します.

これは、田中 高史先生 (九州大学 国際宇宙惑星環境研究センター) が、可視化ソフトウェア Clefを用いて可視化したものです.

T.Tanaka, Y.Ebihara, M. Watanabe, S. Fujita, R. Kataoka. Formation mechanism of fingers that protrude eastward from the Io plasma disk during the interchange instability. JGR Space Physics, August 2024, Volume 129, Issue 8, https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2024JA032559

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