Water Curtain Benchmark

アンモニア放出事故時の減災対策として、ウォーターカーテンによるアンモニア濃度低減の実験(Aurelia Dandrieux による、参考文献 1. )をシミュレーションで再現、検証した.

目次

実験 (Dandrieux による )

参考文献1. における実験の状況は以下のとおり

ウォーターカーテン : クジャクの尾型(peacock tail)の散水機で、水は上方に向けて噴射され、扇状に広がる.測定された流量の平均値は、730l/min である.

  • Trial2 : アンモニアを放出
  • Trial5 : アンモニア放出30秒後から散水機で放水開始
スクロールできます
Trial2Trial5
Release rate
(kg/min)
14.613.5
V(m/s)32.8
Relative humidity (%)5050
Temperature (℃)1617
Source-curtain distance6m

シミュレーション : ベンチマーク

計算条件

計算領域

  • 範囲 (m): 60x60x15
  • 格子数: 256x256x64
  • Type: non-uniform
  • 最小セル : 5cm

■ 風速

  • (3, 0, 0) m/s

アンモニア放出源

  • 放出量:  14.6 kg/min
  • 濃度解放: 1.0
  • 放出 : 断続的
  • 位置 : 入口から5m

放水

  • 開始時間 (s) : 30
  • 間隔 (s): 120
  • 液滴直径 (m): 0.001
  • 放水速度 (m/s): 30
  • 位置 : アンモニア放出源から5m

結果

実験でのTrial2(アンモニア放出)とTrial5(アンモニア放出後に放水)をシミュレーションで再現した結果は、以下のとおり.放水によって、アンモニアの濃度が低下し、拡散が抑えられていることがわかる.

Trial2
Trial5

考察

次の表は、実験(参考文献1. )とシミュレーションの結果(アンモニア濃度)を比較したものである.

10m20m30m
実験
(参考文献1)
Trial2 (Cf)2.6151.0910.034
Trial5 (Cc)0.2990.1720.008
DR (Cf/Cc)8.76.34.3
シミュレーションTrial2 (Cf)2.6880.8520.472
Trial5 (Cc)0.3500.2540.215
DR (Cf/Cc)7.73.42.2

上記表より、散水によるアンモニアの抑制力を\(Es \) : Effectiveness of spray curtain とし、次の式で表す.

\[ Es= \frac{Cf-Cc}{Cf} \times 100 \]

これを実験(参考文献1. Trial5) とシミュレーションSimulation)についてプロットしたものを右のグラフに示す.

発生源から遠くなるにつれ一定の差異は見られるものの、10m地点での結果はほぼ一致していること、屋外実験の特性を考慮すれば、シミュレーション結果は妥当と評価できる.

参考文献

1. Aurelia Dandrieux, Gilles Dusserre, James Olivier, Henri Fournet, Effectiveness of water curtains to protect firemen in case of an accidental release of ammonia: comparison of the effectiveness for two different release rates of ammonia, Journal of Loss Prevention in the Process Industries, vol. 14, pp.349-355, 2001

2. Chao Cheng, Wei Tan, Liyan Liu, Numerical simulation of water curtain application for ammonia release dispersion, Journal of Loss Prevention in the Process Industries, vol. 30, pp.105-112, 2014.

ご協力について

本ベンチマークは、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所のご協力のもと実施しました.

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